歴史的景観である見沼田圃沿いに建つ、新しい火葬場です。計画当初より近隣の方々による反対があり、住宅側から建物を離し、かつ周囲から極力見えにくいように強く求められました。数々の検討の結果、敷地の半分近くを調整池兼用の緑地として残し、その緑地を眺められる位置に待合棟を配置しました。住宅側に向いた大らかな円弧状の待合棟は、大地と連続する「緑の斜面」としてランドスケープに溶け込むような佇まいを目指しました。また、連続感と奥行感のある空間で全体を構成し、一連の儀式と会葬者の動線に応じて場をつくり分けることで、様々なシークエンスを創出しました。

 

※株式会社日本設計在籍時に担当

 

名称    大宮聖苑

所在地     さいたま市見沼区染谷

主用途     火葬場

竣工      2004年5月

面積      6,741.26m2

構造      RC、一部S

階数        地上1階

受賞      2004年さいたま市景観賞

                  JIA優秀建築選2005

 

写真撮影 川澄・小林研二建築写真事務所

 


おおらかな緑の斜面を纏う火葬場

 

屋上緑化された待合棟の調整池側外観

火葬棟と待合棟を結ぶ、渡り廊下と水盤

 


限定した素材と光が包み込む告別室

水盤に反射してゆらいだ光が差し込む渡り廊下